震災後、漫画を携えて東北沿岸部に幾度か足を運んでいます。
4月7日。
原発20km圏内の方々が生活する、いわき市の避難所に
漫画を届けました。
段ボール箱を空けた瞬間、顔を真っ赤に上気させた子供達は
「これ、本当にもらってもいいの?」と、
その場から離れる間も惜しんで無心に読み始めたのでした。
その日、私は何度も子供達に
「漫画を読んでくれてありがとう」と呟いていました。
以降、子供達に渡すための漫画を書店で選ぶ時間が
私にとっての非常に大切な時です。
3月11日という日があってもなくても
「面白い漫画」というものの価値は変わりません。
でも、あの日から今日まで
漫画を通じて「ありがとう」を感じる機会が増えました。
「漫画があって良かったな」と以前より強烈に思う瞬間が
何度もありました。
参加された漫画家の皆さん。
連載の合間を縫って読切を執筆することがいかに大変か、
皆さんの思いに敬意を。
また入校作業を一手に引き受けた部の後輩・前田をはじめ、
関わったスタッフの皆さんにも感謝を。
そして読んでくださった皆様。
「僕らの漫画」の収益金は、震災遺児・孤児への育英基金に
募金します。漫画を皆様に読んでいただくことで、出来る支援。
どうもありがとうございます。
たくさんの「ありがとう」を漫画を通じて伝えられて
心から嬉しいです。
山内菜緒子
小学館 「週刊ビッグコミックスピリッツ」
「月刊!スピリッツ」の漫画編集者です。